牛と地球

「牛を守ると世界が守れる」を実証する

牛乳の歴史

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牛と人間の歴史

動物の乳の利用は、約1万年前の西アジアで始まり、まず羊や山羊の乳の利用から始まったということになっています。それから少し遅れ、人類は牛を家畜として飼うようになりました。約6500年前には牛に犂すきを引かせる農耕方法が誕生しました。そして牛の家畜化からほどなくして、牛の乳を利用する歴史が始まりました。

 

アルファベットの「A」を逆さにすると牛の顔のように見えますが、まさに「A」は牛から来ています。
アルファベッドの原型であるフェニキア文字において、「A」は「アレフʼāleph」であり、「雄牛」という意味です。

 

Aleph名前:アレフʼāleph、意味:雄牛

 

ちなみにアルファベットの「アルファ」はこの「アレフ」が由来です。「ベット」は「ベータ」が由来です。つまりアルファベットは、「A、B」という意味なのですね。

「B」はフェニキア文字においては「ベトbēth」で「家」という意味です。

 

Beth名前:ベトbēth、意味:家

 

「A、B」は「牛の家」という意味になります。人類と牛が非常に深い、起源的な関係を持っているように感じられます。

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仏陀と牛乳

紀元前5世紀に仏教を開いた釈迦は、悟りを得るため厳しい苦行をしたといいます。苦行で衰弱した釈迦に、村の少女が乳粥を差し出ました。釈迦はその美味に驚き元気を取り戻します。そして菩提樹の下で瞑想し、悟りを開くことができました。

釈迦は牛乳や乳製品を、食料となり、気力を与え、皮膚に光沢を与え、また、楽しみを与えるもの…として讃えています。

日本で最古の医術書『医心方』には、「牛乳は全身の衰弱を補い、通じを良くし、皮膚を滑らかに美しくする」と古代乳製品の効用と解説が記されています。

牛乳は人類の友とも言えそうなありがたい存在ですね。感謝の念を持ち、牛を大切にしなければならないと思えます。

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天皇と牛乳

日本における牛乳の歴史に深く関わっているのは天皇と将軍です。645年、飛鳥時代大化の改新の頃に、百済からやってきて日本に帰化した智聡の子の善那が孝徳天皇に牛乳を献上したのが始まりであるそうです。

その後、元正天皇の時代、牛乳を煮詰めてつくる「酥(そ)」の献上を七道諸国に命じました。そして醍醐天皇の頃に、「酥(そ)」の献上の儀礼様式が定められました。この醍醐(だいご)という言葉も牛乳と深い関係があります。

仏教の教典には「牛より乳を出し、乳より酪(らく:ヨーグルト)を出し、酪より生酥(なまそ:酥は濃縮乳のこと)を出し、生酥より熟酥(じゅくそ)を出し、熟酥より醍醐(だいご、チーズかバターオイルのようなもの)を出す」とあり、醍醐が最高の美味とも書かれています。「醍醐(だいご)、超うめー!」という感じでしょうか。「醍醐味(だいごみ)」という言葉の由来になっているようです。

貴族社会に広がった牛乳の文化ですが、その後、朝廷の勢力が弱まるにつれて、牛乳文化も弱まっていきます。

将軍と牛乳

江戸時代になり、八代将軍吉宗は、オランダ人カピタンに馬の医療用として牛乳の必要性を教えられ、インドから白牛3頭を輸入して千葉県安房郡で飼育を始めました。これが近代酪農の始まりといわれています。

その後、開国し、外国人が多く日本に住むようになると牛乳の必要性が高まっていきました。

明治時代になり、「明治天皇は毎日2回ずつ牛乳を飲む」という記事が新聞・雑誌に載ると、国民の間にも牛乳飲用が広まるようになりました。

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遺伝子レベルで人間と相性が良い牛乳

2000年に出版されたサイエンティフィック・アメリカの出版物によると、牛とヒトの遺伝子情報を比較し、牛の768の遺伝子のうち、687の遺伝子(89.5%)が、ヒトと相同分子種を持っていることがわかりました。

また遺伝子学的に、牛乳は存在する他のどの種よりも人間の母乳と最も相性が良いと言われています。これは、牛のDNAがヒトDNAと調和するように特別に構築されているためです。牛のDNAは、人間が、牛乳、チーズ、バター、クリーム、ヨーグルトなどの乳製品から恩恵を受けることができるように設計されています。